2019/03/26
Dearチョコレート戦争,
「この本読んだら、きんせん堂のエクレア買ってあげるよ」そういって、長男の手から危険生物大図鑑を取り上げ、本棚に戻した。
「え~・・・」
「シャチだよ、シャチ。あ、象かもね」
ワニVS蛇、サイVS象・・・地球最強の生物はこれだ!
危険生物大図鑑の帯に書かれたキャッチコピーは危険すぎる。後ろ髪ひかれながら会計に向かう。長男は嫌そうな顔をしてついてきた。
長男の通う小学校では読み声という宿題がでる。
特別なことはなく、ただの教科書の音読だ。息子はそれが大っ嫌い。
理由を聞くと、面倒くさいからだという。
「本、きらい?」
「うーん、あんまり好きじゃない」
「なんで?」
「うーん、わからない・・・」
「とりあえず、本屋さん行ってみようか・・・」
というような会話を繰り返し、思えばこれで三冊目のプレゼント。
一冊目はトムソーヤの冒険。
あれは夏休みの読書感想文に最適だと思ったので、誕生日のプレゼントとして夏休みに入ってすぐに買いに行った。本が誕生日プレゼントだと悲しすぎるので冒険3セットとして
「トムソーヤの冒険、ビクトリノックスのナイフ、酒井法子の夢冒険のCD」を用意した。
ナイフは喜び、自分で箸をけずったり、鉛筆削りを練習したりしていた。
読書感想文の宿題はトムソーヤでなんとかやり遂げていた。のぞき見したら、大きなダニを持っているのがうらやましい、インディアンジョーが蝙蝠を食べていたことに驚いたの二点が格別印象に残っていたみたいだ。
ただ、夢冒険のCDに関してはまったく響かなかったらしくどこに収監されているのか誰にもわからない。
二冊目は、冒険者たち。
ガンバの冒険のアニメを2話ほど見せてから「続きは本で」という作戦だったが、ちょっとボリュームがありすぎた。流石に小学二年生には厳しかったらしく直ぐに音をあげてしまった。
シッポを挙げろって一緒に歌ったのにね・・・。
そうして三冊目。
チョコレート戦争。
きんせん堂という町で有名な洋菓子屋さんを舞台にしたお話で、そこのお菓子は大人が子供をつるための人参となっている。理不尽な大人と少年たちのプライドをかけた戦い。チョコレート戦争にでてくる裏のテーマは、大人としての潔い負け方だ。児童図書コーナーで見つけて、自戒の意味もこめて読み返したいなと思ったのだ。
うん、すごく大人っぽい理不尽さだ。
正直、本なんて気が向いたときに読めばいいと思うし、読み声嫌いでも全然OKだと思う。
興味のないものを進められても、心がなつかなきゃ読まないしね。
ただ、本でも映画でも音楽でもそうだけど、ひょんなことから面白いものに出会うってことは結構あるんだよ。
たとえそれが理不尽に買ってもらったプレゼントであってもね。
長男がどこまでチョコレート戦争を読んだかわからないが、確認するために幼稚園生の次男にこう呼びかけた。
「ゆうゆう、サッカーの試合でゴール決めたらきんせん堂のエクレアかったげるよ」
長男がこっちを一瞥してニヤリと笑った。
その笑顔を見て心が躍る。
チョコレート戦争には「エクレア」という単語は出てこない。
「エクレール」なのだ。
その指摘があるのか、あったとしたらいつになるのか。
そこを指摘されたら長男の勝ち。
そんなチョコレート戦争を楽しんでいる。
Sincerely,nakatake noriaki