2019/03/29
Dear森茉莉全集..,
森茉莉さんは森鴎外の娘さんで小説家、エッセイスト。「魔莉のひとりごと」という本に手紙が書きたいのですがないのでこちらに。
私の母がいつか森茉莉さんが好き、と言っていたのを聞いたことがあり、いつか図書館で魔利のひとりごとを借りて読みました。
そこに書いてあるのは、サヴォンの香、キャフェ、お洒落で香りの良い言葉が沢山詰まっていました。
ちょうど、長野まゆみさんの小説も並行して好んで読んでいたので、フランスの香りがするその言葉一つひとつが大好きでした。(好きな言葉をノートに書きとったりしたような気がします)
そのあと、私は下北沢へ引っ越します。
下北沢には森茉莉さんが毎日通ったという「邪宗門」という喫茶があります。もちろん私は引越してすぐ、邪宗門へ出向きました。
邪宗門の中にはご年配の方が多くおり、まだまだチビだった私は、未成年者開けちゃダメ、と書いてある引き出しを開ける勇気もなく、コーヒーとバターパンを注文したのでした。
色々なものが置いてある店内をきょろきょろしながらも1人でコーヒーをゆっくり飲んでいるところに聞こえてくるのはどこの席からも森茉莉さんの話題。森茉莉さんのこの本が良かった、戦後のあの時代はどうだった、とか。森茉莉さんがいつも座っていた席はここだった、とか。
おじいさん、おばあさんたちが大好きな作家の話を大好きな作家さんがいた場所で語り合うなんて何て素敵な生き方なんだろう、と感じました。私もいつかこういう喫茶店の利用の仕方をしたいと思ったものです。
チビ1人の利用が珍しかったのか、コーヒーとパンを平らげてごちそうさま、したのち、店主さんが入口まで見送ってくれました。
確か、どうしてきたの?とかなんとか聞かれ、私も森茉莉さんが好きなんです、と答えたら、店主さんは優しく、森茉莉さんが好きだった世田谷の桜並木の散歩道を教えてくれました。
わたしはその道をゆっくり歩いて帰りながら、森茉莉さんの言葉やコーヒーの味を反芻しいい気分で帰ったのでした。
世田谷のあの桜並木の道は春の季節、本当に気分がいい通りになるんです。
Sincerely,123