2019/04/13
Dearカレーライス,
エンケンさんはフォーク界のレジェンド、という事でもちろん知ってはいたものの聴いたことがなかったころ、これもまた学生の多感な時期にアルバム「満足できるかな」を購入し聴くに至ります。中でもカレーライスという曲は兎に角名曲で、その曲をきくだけで、小さく古ぼけたうす暗い昭和の4畳半の部屋でエンケンさんがギターを弾いている横、キッチンの手元を照らすチラチラとした短い蛍光灯だけが明るい中、女性がトントンとジャガイモを切っている、そこに猫がニャアとやってくる、そんな風景が容易に思い浮かぶのでした。ギターとぼそぼそとつぶやくような言葉だけで情景がブワアと浮かぶ、ものすごい曲だと感じました。
不滅の男、遠藤賢司はライブ活動を精力的に行っていました。私は一度だけエンケンさんのライブを見に行って度肝を抜かれた経験があります。真っ赤なシャツを着たエンケン、ギター1本とマイクと椅子。あとは譜面台にノートが一つ。エンケンはノートをパラパラとめくりながら弾丸のように何かを語ります。(何を語っていたかは忘れた)息つく間もなく曲を演奏、満足できるかななんか、力を振り絞って汗のしぶきがたつほど熱烈に歌い上げていました。カレーライスの歌声が会場を包み込み、ライブハウスの中は昭和の4畳半の部屋と化すのでした。一人でなんでもやっちゃうエンケンさん。死ぬ間際まで全力で生きたエンケンさん。彼は異質で最高のレジェンドだ。
Sincerely,123