2019/03/15
DearAja,
steelydanとの出会いは専門学校のとき。音響の専門学校に通っていたので、スピーカーチェックの音源に使われる音楽を色々探し漁ることをしていたとき、ドナルドフェイゲンに出会いました。ホール内で行うスピーカーチューニングの練習。そこで必ずかかる音源はドナルドフェイゲンの「I.G.Y」。単純にイントロからめちゃくちゃかっこいい曲だと思っており、この曲がめちゃめちゃ好きなんだと周りに言いふらしているとその時、OBとして学生サポートをしてくれていた人が私に近寄って来、「フェイゲンめちゃめちゃいいよね！」とものすごく興奮気味に話しかけてきてくれました。その人はいつも冷静沈着で声色もいつも低く色白で低血圧そうな感じの人だったのですが、その時の高揚した顔がとても印象的で心に残ったのを覚えています。後日、その日も授業でホールで機材の準備を始めようとしているとき、そのOB先輩が「これあげる」とディスクユニオンの袋を渡してきたのです。中に入っていたのはSteelyDanの「Aja」のアルバムでした。私の悪い癖で男性から何か物を貰うと私に好意があるのだと勘違いし好きになってしまうことがままあります。その時もまさにそれで、私のためにわざわざ買ってきてくれたのか、という所からそのOBの先輩が大好きになっていました。もちろんスピーカーチューニングで使うほどバキバキの音の良さ、スタジオミュージシャンの寸分違わない完ぺきな演奏力、そしてフェイゲンの声で SteelyDanは最高であることに変わりはないのですが、その上“私のために買ってきてくれたCD”という効力が加わって、 スティーリーダン、ドナルドフェイゲン、ジャズフュージョンは私の音楽人生を語る上で欠かせないものとなりました。その大好きなOBの先輩への想いは一方通行で終わったものの、私に残ったこの音楽の財産は今こうして幅広い音楽ジャンルを好きになれること、伝説のミュージシャンたちが日本へ来日することを心待ちにできることなど、様々な場面で私を豊かにしてくれました。 ベッカーの死によりsteelydanという絶対完璧主義バンドを生きているうちに見ることは実現できなかったけれども、いつか、いつか、どうぞせめてフェイゲンだけでも死ぬ前に拝みたいと思っています。どうかどうか体調を崩さないで、お願いだから日本に来て、フェイゲン。
Sincerely,123
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